BMW フラットツインシリーズについて

BMW 100GS。国道9号線からちょっと入った脇道で休憩した時の写真です。

BMW 100GS。国道9号線からちょっと入った脇道で休憩している際に撮影した画像です。

それほど多くの車種を乗っていませんので偉そうに書けませんが、BMWのフラットツインは面白いバイクだと思います。過去に2バルブのフラットツインのR80・R100T・100GSや、4バルブになったR1100RS・1100R・1150GSなどに乗りました。今はR1150RTを所有しています。

楽しく遠くに行けるバイクというのが、BMWの設計思想だと思っています。
「楽しく」というのが肝心で、これが「楽(らく)して」になると、つまらないバイクになってしまいますし、それこそ車の方が良いのでは?と思います。
長時間バイクに乗り続ける為には、「楽しさ」が持続しないと飽きてしまいます。

BMWは歴史の長いメーカーですから、経験豊富なテストライダーが知っている、「楽しさ」という、数値や文章とするに難しい暗黙知が、黎明期から今に至るまで綿々と続いているのしょう。

私が感じたBMWの楽しさの一つは、疲労時の感受特性と上手に付き合っている点です。立派な人は別ですが、多くの人は肉体や精神が疲れるとイライラします。体調にもよりますが、私はツーリング用に設計されていないバイクで下道を主に長距離を走りますと、500キロくらいから疲労が始まります。600キロを超えるとイライラし始め、700キロくらい走ると疲労が窮まって運転そのものが嫌になります。BMWは、このあたりの対処方法に長けています。

 

うるさく大きな排気音は、疲労時には耳障りなものです。BMWの排気音が静かで心地く、無用な刺激を与えません。
わずかな入力で車体が左右に曲がるのは、疲れたり寒くて体が動かない時にはありがたいものです。

疲労するとアクセルワークも雑になりがちですが、軽く穏やかなアクセルは人に優しいものです。
排気量は、速度や馬力の為だけでは無いと理解出来ます。疲れなければ、いくらでも先に進めます。

 

初めてBMWのR80を購入して乗った時に、「なんと遅くてつまらなく鈍重なバイクなのだろう」と、買った事を後悔しましたが、
長距離ツーリングに行って、遅くつまらなく鈍重と感じたフィーリングは、長距離走行の為なのだなと理解しました。

 

長年の経験から培われた絶妙なセッティングは未知の世界で、初めてバイクに乗った時の、「自分は何もしていないのに動いている!」
という気分を思い出して楽しくなりました。ひょっとしたら、この素朴な楽しさもBMWが持っている「楽しさ」なのかもしれません。

 

ツーリングの楽しさを知り、一回で走る走行距離も序々に伸びました。BMWに乗る前は、とある水冷四気筒のバイクに乗っていました。
出発してから200キロ前後が楽しさのピークで、そこからは下り坂です。楽しさを持続出来る方法は巡航速度を上げる事ですが、
免許も危なくなり、夜間の高速道路を走行中、前輪が何かを踏んで左右のハンドルストッパーに当たるくらいハンドルが振られて恐怖し、
安全や速度について色々と考える様になりました。

 

当時乗っていた大型バイクは、発売当時は世界最速を狙って設計されたバイクで純然なツーリングバイクではありませんから、
私の使用方法が間違っていました。バイク本来の設計思想に沿わない使用方法や、己のスタイルに合わないバイクを所有するのは、
私にとって正道でないという、当然の事を理解しました。

 

最近は魅力的な車種も増えましたが、国土の狭さの為なのか、売れ行きの問題なのか、
国産メーカーのツーリングバイクは、さほど発達しなかった様に思えます。
もっと遠くにツーリングに行きたい。と考えている方には、BMWは素晴らしいい候補だと思います。